プレスリリースのお知らせ

 

名古屋大学大学院工学研究科の 村上 裕 教授の研究グループは、国立病院機構 名古屋医療センター臨床研究センター感染・免疫研究部の 岩谷 靖雅 部長との共同研究で、新型コロナウイルスを捕捉・不活性化する人工抗体を作製しました。
本研究では、独自に開発した人工抗体を高速に作製する方法(TRAP提示法)を用いて、新型コロナウイルスに特異的にかつ強く結合する複数の人工抗体を、わずか4日で取得することに成功しました(2020年4月7日に標的タンパク質を受け取り、同10日には配列解析を終えた)。得られた人工抗体は、単量体で新型コロナウイルス表面のスパイクタンパク質にKD = 0.4 nM程度と非常に強く結合し、ヒトに感染するウイルスとしては最も近縁であるSARSコロナウイルスの表面のスパイクタンパク質には結合しませんでした。また、本人工抗体を用いて、患者の鼻ぬぐい液から高効率に新型コロナウイルスを濃縮することにも成功し、さらに新型コロナウイルスと人工抗体を混ぜることで、新型コロナウイルスを細胞に感染できないように中和することにも成功しました。本人工抗体の骨格はヒト由来のタンパク質ですが、大腸菌で容易に大量生産でき、抗原検査による迅速な診断とともに、中和抗体としても応用できると考えられます。また、本研究で開発した人工抗体を高速に作製する方法(TRAP提示法)は、COVID-19だけでなく今後のパンデミックに素早く対処するための新技術となることが期待されます。
この研究成果は、2020年9月19日午前3時(日本時間)に「Science Advances」(米国科学振興協会雑誌)オンライン版に掲載されます。

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2020年9月23日